台北の街角にたたずむ名店
「島国」。
台湾は四方を海で取り囲まれている日本と同じ「島国」である。
それゆえに、中華民国というくくりでは同じ位置づけである、中国大陸とは似て非なる進化を遂げた国ともいえる。
例えば、今は台湾と近隣の離島のみで使われる「中華民国暦」とは、中華民国(台湾)が成立してから数えられている暦のことで、日本の和暦と同じ位置づけだ。
この「中華民国暦」は、中国大陸に中華民国が起こった頃からつかわれており、今年数2019年は中華民国歴108年である。
免許証など公式な資料には、この中華民国歴が使用される。
中華料理。
日本での「中華料理」という名称は、中国の各地方の料理の総称である。
台湾、中国で大陸では「中華料理」という言葉は普段使わず、台湾料理、広東料理(エツ菜)、四川料理(川菜)、山東料理(魯菜)などわけて使うのが一般的である。
味付けに関してだが、台湾や香港など、海沿いの地域ほど海鮮をメインで使い、素材を生かす薄味の味付けで、四川料理や毛沢東の生まれ故郷である湖南料理など内地の料理ほど味付けが濃い、という具合だ。
台湾は50年の日本統治時代の影響を受けていることより、サンマやサバの塩焼き、ウナギのかば焼きなど、日本の食卓にならぶような料理が一般市民にも愛されている。
また、赤だしの味噌汁や、かつおと昆布だしを使った海鮮スープ、桜えびを使ったチマキなど、日本人になじみのある素材を使った料理がおおいことも特徴的だ。
黄記老牌燉肉飯
1948年創業の70年の歴史を誇る伝統的な台湾料理の店を紹介しよう。
一見「なだ、このボロ屋」というたたずまいの店だが、ここの「角煮定食」と「鶏もも定食」はマジでうまい。
ここの角煮(店では’燉’肉)ご飯は80元(約280円)。
ちなみに、’燉’(発音:デュン)とは中国語で煮込み料理の意味である。鳥を煮込めば’燉雞’である。
ここは、思い切って「シャオチエ(小姐)、デュンロウ(燉肉)、イーガ(一個)」
と言ってみよう。
こんなプリプリの角煮丼がでてくる。長時間煮込んであるので、ハシで「サクッと」肉が切れるくらいである。
主役はもちろん、角煮だが、角煮の下に申し訳なさそうに鎮座している「たくあん漬け」が分かるあろうか?
そう、ここ台湾の伝統的な定食には少なからず、この日本統治に日本から伝わった、「たくあん漬け」も副菜として丼ものを彩り豊かにするお店があるのだ。
この店の「黄記老牌燉肉飯」の黄記はまさに、この「たくあん漬け」の色が店の看板となっているわけだ。
この味噌汁もそうだ。れんげについている「茶色の物体」は厚切りにした、かつお節である。塩分は控えめだが、しっかりとかつお節の出しがきいており、赤だし味噌で味を調えているのだ。
この味噌汁を飲むたびに「日本の文化が、ひっそりと残ってるんだな」と、感慨深い気持ちになる。
まとめ
最近では観光ガイドブックに店の情報が載るようになったので、ちらほら日本の観光の方も見かけるようになった。
派手な外見ではなく、町の一角にたたずむ店なので、探すのは難しいかもしれないが、昼時に少し時間がある方は寄ってみるといいかもしれない。
いろいろなところで、島国通しのつながりを発見できると思う。