サーフィンを通じて免疫力をアップするということ
2020年オリンピックの正式種目となったサーフィン。世界中からトッププロサーファーが日本にやってくる。
今から遡ること30年前、先輩にもらった中古のサーフボードを持って、ワクワクして海に向かったことを懐かしく思い出す。
千葉県でサーフィンのサーキットツアー
1981年から千葉、部原海岸で開催されていたサーフィン世界大会。トム・カレン、ケリー・スレイター、トム・キャロル、デレク・ホーなど今では伝説となったプロサーファーが勝浦の海で熱い戦いを繰り広げていた時代である。
東京湾アクアラインが建設されたのが1997年のことなので、当時は横浜から南房総に行くのは一苦労だったわけだ。
始めた頃は正直なところ女の子にモテたい一心だったのを憶えている。
今は死語となった「岡サーファー」なんてキーワード流行った時代でもある。
サーフィンはむろん海で行うアクティビティなことはお分かりだと思うが、「茶髪でロン毛」でサーフィンを「やってる感」を醸し出し、サーフボードを抱えて海辺に行くのだが、海辺で女の子をナンパするのを目的としいる輩のことを総称する言葉である。
ちなみに、海には入らない。
社会人になり、結婚をして家族を持つ頃になると、サーフィンから遠のいてしまう仲間が当然ながら増る。そりゃ毎週末、仲間と海に行くなんて奥さんに言おうもんなら家庭不和の種になることも大きいだろう。
私はというと、ラッキーなことに一緒になったカミさんの度量が深く、サーファーが必ず迎えるその危機をうまく乗り越えることができて今に至るわけである。
サーフィンをやったことがない友人から「サーフィンの何がそんなに楽しいのか?」とわれることが度々ある。
そのたびに「サーフィンは波に乗ったときの快感が最高なんだよ」と友人にこたえているのだが、やったことないのだから「波に乗るってどういうこと?」という質問がきてやりとりに困るような場面が度々ある。
今日は、そんな「レクレーション」の要素からみたサーフィンの視点から「なぜ人がサーフィンに夢中になるのか?」という視点で考察してみたいと思う。
心的外傷後ストレス障害、通称PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)として広くしられているが、このPTSDの研究は古く、19世紀後半から始まっている。
最初の研究は19世紀後半にさかのぼる。
中でも特徴的なのが、米国で1955年に始まったベトナム戦争など戦場帰りの軍人が抱えた「戦闘ストレス反応の症状」である。
当時、アメリカは20台前後の若者270万人を兵士としてベトナム戦争に送り込んだ。
そのうち58,000人が戦死し、残りの数多くの兵士がPTSDで苦しんでいる。
現代では退役軍人を中心として90万人以上の方が、この心的外傷後ストレス障害に苦しめられているのである。
また心的外傷以外にも、以下の写真にあるような、通称’jungle rot'という、ジャングルのような高温・多湿環境において、最近が繁殖し手足の皮膚が腐り落ちていく症状の兵士も少なかったのだ。
ある兵士の実はだが、”ベトナム戦争終了後、本土に戻ったあと、この’’jungle rot'に悩まされて三か月間の入院でも改善がみられず、医師もお手上げだったが、サーフィンを始めるようになって二週間ですべてきれいに治った、という記録がある。
数年前、アメリカの海軍は、1億円を投じて「サーフィンのセラピー効果」の実証を行っている。
まず14人の退役軍人を1グループとして、6週間のサーフキャンプを実施したあと、参加者にアンケートをとったところ、14人すべてに不眠症、不安感の軽減、鬱症状の緩和が見られたのだという。
また、この実正で「山をハイキングすることよりもサーフィンをしたほうがセラピー公開が高いのではないか」という仮説の検証も実施した。
三年間を通じてこの検証を実施したところ、参加者の118名がサーフィンがより効果があったとし、ハイキングを支持した48名を数として大幅にこえたことも明らかになった。
今でもカリフォルニアのサーフミュージアムにいくと、ベトナム戦争時代に東シナ海(ベトナム中部ダナン)でサーフィンしたときの写真などの展示物がみられるということだ。
「退役軍人だけのこと」ではない。日本もますます、経済格差が激しくなり、社会的ストレスが増えてくることは想像にかたくない。われわれを取り巻く環境は日に日に厳しいものになるだろう。
40代、50代でもまだまだ、遅くはない。単なるレクリエーションの枠を超えた「サーフィン」にぜひトライして見ていただくことを提案したい。
また、最後に「ささやかながら」それなりの生活を送り、海を愛する生き方を選ばせてもらえた、妻にあらためて感謝したい。