三菱電機の社員の自殺に思う
「死ね、と言われた」
三菱電機の男性新入社員が自殺し、警察が自殺教唆容疑で上司を書類送検した事件である。
過去にも社員の過労自殺や精神疾患による労災認定が相次いでおり、「(三菱電機は)極限まで追い込んで成果を出させる体質だった」らしい。
「会社辞めたほうが良くない?」
離職率でみると、台湾は日本の約2倍の約13%にのぼる。
日本の特異な「新卒一括採用」型の雇用方法ではなく、通年採用、年に数回,必要に応じて社員を採用する形態が普通である。
当然ながら、個人の職務に応じて給料が支払われるのだが、雇用される側も「給料は会社が自分に対して評価しているバロメーター」の意識が非常に強い。
このバロメーターに対して、日々個人個人が自分の置かれている立場に応じて評価をしながら、会社で働くわけだ。
会社内で、人間関係や仕事のプレッシャーがこのバロメーターに対して上回ってしまうと、「この会社じゃ、やってられないな」と判断して、速やかに転職活動を進めるわけだ。
「上司、部下は先輩、部下にあらず」
日本の雇用制度に比べて「先輩、後輩」という間柄が出来にくい土壌がある。
歳は10歳上だが、自分の部下、ということや、その逆のパターンなんかザラである。
会社とのつながりは、「自分が評価されているバロメーターだけ」つまり、会社から支払われる給料だけなのである。
半径2メートルにいる職場の仲間とさえ、日本人のような、「腹を割った」付き合いは存在しない。
会社に勤める上で、そのような考えかたは、必要がないのである。
もちろん、会社が終わって、同僚と食事会に行って飲んだり、カラオケで歌うことだってある。
が、会社と個人の雇用関係には、同僚との付き合いの深さは、影響し得ないのである。
家族ファースト、会社セカンド
アフター5、東京新橋の炉端の煙りの誘惑は、日本のサラリーマンなら誰しも当たり前のようにわかる話だが、会社が終わったら家族とゆったりと過ごすのが台湾の常識だ。
週末出勤なんて、もってのほか!
週末はデパートや、少し良いレストランに家族や、気の合う仲間などと、ショッピングや、食事を楽しむ。
とにかく、お金を貯めるより使うことが大好きなのだ。
まとめ
先の三菱電機の自殺した社員は、メモで「死ね、言われた」と、書き残したのだという。
メモを渡されたご家族の気持ちを思うと、なんともやりきれない気持ちになる。
報道だけを100%鵜呑みにして、判断することはできないが、少なくとも同じサラリーマンとして、最近の日本企業の雇用のあり方に、首を傾げることが少なくないこの頃である。
ps.
台北市内の日本統治時代のモダンな建造物
本日はとても顔が綻ぶような暖かな、暖かな一日であった。